株式会社ワールドスケープ

2019.05.02

【Frekul 8th Anniversary】データで振り返るドタバタ8年

いつもお世話になっております。株式会社ワールドスケープ代表の海保けんたろーです。

 

本日5月2日は、当社の中心事業でもある音楽活動支援サービス「Frekulの公開記念日です。

おかげさまで2011年のスタートから8周年を迎えることができました。

 

ご登録いただいている11,000組を超えるアーティストの皆様、関係各社の皆様、そして何より社内メンバーのみんな、本当にありがとうございます。

 

せっかくの記念日ということで、各種データを交えながらこれまでの歩みを振り返ってみようと思います。

ただのバンドマンがいきなり起業したドタバタストーリーを楽しんでいただくと同時に、音楽系で起業を検討している方への参考にもなればと思っています。

当然の最悪のスタート

まずはいきなりですが、Frekulアーティスト登録数の推移グラフをご覧ください。

以前「累計登録アーティスト数」の推移グラフは公開したことがありましたが、これは「月間新規登録アーティスト数」の推移になります。

ご覧の通り、お陰様で特にここ数年は本当に多くの方にご登録いただいています。

逆に言えば、最初の頃いかに苦しんだかというのもなんとなく伝わると思います 笑。

 

2011年2月にただのバンドマンだったぼくたちは、熱い想いと、緻密な計算に基づいて起業したつもりでした。

 

しかしWEB開発経験どころか社会人経験自体がゼロの3人による起業です。

いきなりうまくいくはずもなく。

 

2011年5月に公開したFrekulはいきなり不具合を連発。

毎日たくさんの苦情や問い合わせのメールが届き続けます。

 

そして売上もゼロ。

最初に興味を持って登録してくれたアーティストのほとんどは離れていきました。

(2011年8月の月間登録アーティスト数は3組でした…笑)

 

ほぼボランティアで手伝ってくれていたエンジニアもいなくなり、最初に用意した貯金もほぼなくなります。

 

きっと「ぼくらなら上手くやれる」という思い上がりがあったのでしょう。

「ぼくに経営者としての才能はなかった」という気持ちに毎日打ちひしがれていました。

蘇生

ありがちですが、こんな状況を救ったのは人との出会いでした。

 

ライブハウスで偶然知り合ったエンジニアT。

出資を決めてくれた投資会社のSさん。

 

彼らの力により、ワールドスケープ社は再び呼吸をすることができるようになります。

Frekulの数々の不具合は徐々に解消され、次の手を考えることができるようになりました。

 

乱暴にまとめてしまえば、ここからやっと本当のスタートを切れたことで、今の場所まで走ってこれたと感じています。

 

Frekul登録アーティスト数という意味では、この8年間で転機となるポイントがいくつかありました。

 

2013年7月にJOYSOUNDを運営するエクシング社と提携させていただいて、Frekul経由でカラオケへの配信が可能になったこと。

 

2016年6月にはFrekul全面リニューアルを行って、Apple Musicなどへの配信が可能になったこと。

ちなみにこの時はチャットボット型のUIを採用するなどした結果、登録アーティスト数だけではなくアクティブ率も大幅に向上することになりました。

 

そして最大のインパクトがあったのは2018年8月に公開した、スマートオーディションです。

数十社の音楽事務所やレコード会社に一気にアピールできるという、ありそうでなかったこの仕組み。

企業の方から見ても「新人発掘を効率よく代行してくれる存在」というポジションをいただくことができ、大変ご好評いただいています。

音楽発見アプリ「Lumit」

時間軸は前後しますが、ぼくたち株式会社ワールドスケープの2つ目の自社サービスは、2015年2月にリリースした音楽発見アプリ「Lumitです。

 

アプリ自体は無料

今の気分を選択するだけで、それに合った曲が流れてくる。

流れてきた曲に対して「いいねボタン」「いまいちボタン」を押していくだけでLumitは学習して、あなた好みの選曲に変化していく。

という我ながら素敵なコンセプトのアプリです。

 

しかもLumitで流れるのは、Frekul登録アーティストの曲です。

つまり、Frekul登録アーティストにとっては「自分が動かないでも、新しいリスナーに自分の音楽を届けてくれる」ということになり、アーティストの宣伝を担うこともできるナイスな仕組みです。

「これは最高でしょ!」と思いながら夢中で完成させました。

 

ではLumitの月間総再生数の推移を見てみましょう。

ビジネス的に言うと、まずケタが2つくらい足りません

それでも地道に伸びを見せていたものの、少し前から完全にそれが鈍ってきています。

 

Lumitをリリースした当初はまだApple MusicもSpotifyも日本ではサービスを開始しておらず、そもそも無料で合法的に音楽を聴くことができるということ自体が少し新しいという状況でした。

その状況もすぐに変化し、Lumitは少しずつ苦しい立場に追いやられていってしまうことになります。

 

振り返ってみると最大の失敗は収益モデルが甘かったことだと考えています。

 

まずは無料で提供する。

ある程度ユーザーが増えてきたら、音声広告を挿入することによって広告収益を得る。

それに加えて「月額500円払うと広告が出なくなる」などの機能を計画していました。

 

しかし、音声広告を取り扱うプラットフォームが当時全く整備されておらず、Lumitのユーザー数もケタが足りなかったため、音声広告を挿入すること自体がいつまでもできませんでした。

となると、それを消すための有料会員というのも売れるはずがなく、売上が全く立たない状況が続くことになってしまいました。

 

収益化の見通しが立たなければ、会社としてはそこに人件費をかけ続けることはできません。

結果として、アプリの継続的な改善を続けることもできなくなってしまい、徐々にユーザーが離れていく原因にもなったと認識しています。

 

国立情報学研究所の方々など多くの方にご協力いただいたプロジェクトだったのに、狙った結果につなげることができませんでした。

やはりこれも経営者としてのぼくの未熟さによるもの。悔しい。

かんたんカラオケ配信

Lumitがなかなか収益を上げられないという状況を踏まえて、ちゃんと売上が立つサービスを作ろうと考え出したのが「かんたんカラオケ配信」です。

 

それまでもJOYSOUNDに配信できるという機能はFrekul内にあったのですが、売上の立つサービスとしては整備されていませんでした。

そこで「かんたんカラオケ配信」という分かりやすいパッケージに再構築し改めて、JOYSOUNDとの協業をさせていただくことになりました。

下記は、かんたんカラオケ配信の売上推移です。

ご覧の通り波はあるものの、売上が向上してきています。

 

やはりこうやってお金が入ってくる仕組みをしっかり作ることができれば、課題も継続的に解消することができ、それがさらなるリピーターを呼ぶことになり、良いサイクルが出来ていくんだなと実感することになりました。

 

よく著名経営者の本やインタビューなどで「お客さまのことを第一に考えて」とか「お客さまの笑顔のために」みたいなことを書いてあるじゃないですか。

ぼくは元々はそういうのを見て「しらじらしいな…ほんとは自分たちが儲けたいって思ってるくせに…」とひねくれた捉え方をしているタイプでした。

 

それはある意味合っていて、ある意味間違ってたんです。

 

お客さまのことを第一に考えてサービスを作れば、リピーターや口コミが生まれて結局自分たちが儲かる

自分たちが儲かれば、それを再投資することでサービスが改善されてお客さまの笑顔を作ることができる

「お客さまの喜び」と「自分たちの儲け」は全く相反するものじゃなかったんです。

 

それをやっとこのサービスを通して、実感として知ることができました。

今更ですかね?

ぼくも今更かよ、と思います。

でも、体感することができて本当に良かった。

 

お陰様で「かんたんカラオケ配信」は今も好評をいただいている、自慢のサービスです。

店舗BGMアプリ「Simple BGM」

前述の通り2016年6月にFrekulをリニューアルし、その次の一手を考える中で第3の自社サービスとして誕生したのが店舗BGMアプリ「Simple BGMです。

2017年9月にリリースしたこのアプリで、実質ほぼUSEN一択となっていた店舗BGMというマーケットに飛び込みました。

 

Frekul登録アーティストの曲を店舗BGMとして使っていただくことで、いい座組が作れるんじゃないか?という発想からスタートしています。

 

「無料で提供して一気に店舗数を取るんじゃ〜!」ということも考えましたが、そこはLumitの反省を生かして月額500円の有料サービスとしました。

それでもUSENと比べて大幅に安い価格を武器に、主にネット上での拡散を狙いました。

Simple BGMの売上推移は下記です。

月額積み重ね型のビジネスモデルということもあり、お陰様でとても安定的に伸び続けています。

 

収益の一部はFrekulを経由してアーティストに還元しているので、

アーティストはFrekulに曲をアップしておくだけでお金が入ってくる

当社にもお金が入ってくる

店舗の方は安い価格でいい感じのBGMが導入できる

という、三者が幸せになる本当にいい仕組みが作れたなあと自画自賛しております。

 

とは言えまだまだマーケット全体から見たらほんの弱小サービス。

今後も改善を続けて、広げていければと思っています。

これから

8年。

もはやスタートアップと言えないほど時間が経ってしまいましたし、8年かけても社会に与えた影響はまだこの程度か、と日々悔しい気持ちでおります。

 

しかしそれでも、ビジネスもWEBも何も分からないバンドマンたちが急に立ち上げた会社がここまで続いているのは本当に、これを読んでくださっているあなたのような方々のおかげに他なりません。

 

ご覧いただいたように、特にここ数年は数字が伸びてきています。

これから「もっと大きな事に挑戦できる!」と未来に夢が持てている状況を本当に幸せに思います。

 

これからもより多くのアーティストにFrekulに登録してもらうことと、そして彼らに登録して良かったと今以上に強烈に思ってもらうことにフォーカスした努力を毎日毎日続けていきます。

そして創業時から変わらないミッション「実力あるアーティストが、公正に、経済的に評価される世界を作る」を必ず実現します。

 

長文をここまで読んでくださって本当にありがとうございました。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!

 

2019年5月2日 株式会社ワールドスケープ代表取締役 海保けんたろー

Twitterやってます。

おまけ

●採用について

現在積極的な採用は行っておりません。

ただし何らかの専門的な技術や知識をお持ちで、当社に価値を発揮できると考えてくださる方はご連絡いただけると幸いです。

こちらの問い合わせフォームよりお願いいたします。

 

●資金調達について

黒字化しているため緊急の資金需要はありませんが、当社にスピードや新しい武器を与えてくださるVCおよび事業会社からの調達は常に前向きに検討しております。

興味を持ってくださる担当者様がいらっしゃれば、こちらの問い合わせフォームよりご連絡ください。

 

●取材について

当社は現状、専任の広報担当者がいないためPR力の不足を感じております。

我々の想いやストーリーを魅力的に描いてくださる記者様、ライター様、ブロガー様などいらっしゃればぜひご連絡ください。できるだけご協力させていただきます。

こちらの問い合わせフォームよりお願いいたします。